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0.プロローグ
それは、『悪魔』のようだった。一目見れば、思春期に入ったか入ってないかの瀬戸際のような女の子。だが、禍々しいオーラに形どり、彼女が動くごとに一撃のもと倒れていく、仲間、協力者、同志。しかし、臥したものはまだ息はあるようだ。
辺りは、橙色の蛍光灯の光しか入らない夜だった。喧嘩としてはあまりに凄惨な光景。死人がいないだけまだまし。
「あらまあ……。とっても強いって聞いていたけれど、本当のようね~」
「あなたが言うと、真実味が帯びませんけど」
「これでも嘘をついているわけではないのよ? ガチよ。マヂよ」
「……訂正します。聞いてみれば、あなたの呼吸、ゼイゼイ言っていますね。肩で息しているところ初めて聞きます」
「まあ、信じてくれた? よかったわ~」
立っているのは3人。黒いオーラを放つ一人の『悪魔』のようなものと、場にそぐわないゆったりとした喋りをする女子高生。冷徹な雰囲気を持つ眼鏡をかけた女子高生の3人だった。
『悪魔』がゆっくりと構える。ヒリヒリする空気。木が震え、風が吹きつく。辺りの自然が、2人組の彼女らに対して、警告を発しているようにも感じた。あの悪魔から逃げなさいと。
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