こたつちゃん

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「あの…」 美少女に声をかけられた。だが僕は、まだ状況を判断できていない。寒いのでこたつに入ろうとリビングに行ったら、あるはずのこたつがなく、代わりに少女がいた。 この少女はなんだ?まさかこたつか?こたつなのか? 「私、こたつです。なぜか人になってしまいましたが…」 少女が喋った。まじか、ほんとにこたつなのか。確かによく見たら、この子、うちのこたつの柄のもんぺ着てるし。 「あ、そうなんだ……まぁ、いっか。」 「いいんですか!?」 少女が驚いたように目を見開く。 「うん。あ、でもこたつがないと寒いな~」 僕は極度の寒がりだ。こたつがないと寒い。僕はこたつで、この冬を乗り越えようとしていたのだが、そのこたつが擬人化してしまったため、暖をとるすべがない。 「君、いつもとの姿に戻るの?」 「わかりません……」 少女が眉を下げた。本人も分からないのか。 「そっかー、んじゃ、しょうがない。新しいこたつを買ってくるか。」 安いのないかな。セールとかしてるかもな。僕は、新しいこたつを買いにいくために服を着替えようとリビングから出ようとした、すると 「嫌です!」 少女が涙目で僕の袖を掴んできた。可愛いな、おい。 「私以外のこたつをこの家に入れちゃ、嫌です。」 「私は、この家のこたつとして生きていきたいんです。」 僕の袖を掴む力が強くなる。 「……分かった、分かった。買わないよ。」 「……本当に?」 少女が上目遣いで僕を見つめる。 「僕は嘘はつかないよ。」 「ほんとですか!?ありがとうございます!」 少女が笑った。……しょうがない、寒いのは我慢しよう。 果たして僕は、今年の冬を乗り越えられるのだろうか。 「僕が名前をつけてあげよう!今日から君の名前は、こたつだからね。よろしくね、こたつちゃん。」 「はい、よろしくお願いします!」
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