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視界を染め上げていた蒼光が収まり、明転していた視界がぼんやりと徐々に視力を取り戻す。
相変わらず強烈な転移光にやられた目をぱちぱちと瞬かせて無理矢理目のピントを合わせると、目の前に月明かりに照らされた泉と、その奥に静かに連なって佇むブナ林が広がっている。
一ヶ月近くぶりとなる≪ヘルメス≫第一ダンジョン、通称≪オクシュアーの森≫改め≪ファーグスの森≫は以前と変わらぬ美しさと幻想的な景色で迎えてくれた。
「静かだな……誰もいないのか?」
「まあ攻略が終わってからもう一ヶ月だし、探索され尽くしちゃったんだろうね。前線組はもう次の拠点に移ってるらしいし」
「ここにはもう用はない、か」
諸行無常というか何というか、ゲームを進める上では確かにここはもう用事のないエリアなのだろうが、この景色を見ると忙しなく移動してしまうのは少しばかり勿体ないような気もする。
まあアイテムなどはとっくに取り尽くされているだろうし、レベリングをするにもここはMobはそこそこ強いし面倒な毒攻撃も持ってるしで、実入りとしてはあまり美味くない。
ここに長く留まってレベリングするにもトレントの毒攻撃対策の解毒ポーション代も馬鹿にならないし、それならリスタ村の森で青ウルフを狩りまくっていたほうが経費の面でも回転率の面でも賢明といったところだろう。
確かにこうして景色を楽しむ以外の用はなさそうだし、寂れてしまうのも無理からぬことだろう。
「さて、と」
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