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さてどうしたものか。
ルナの明るい瞳をじっと見つめ返しながらこの状況をいかに切り抜けるか考えていると、ルナはゆっくりと目蓋を閉じて首をこてんと軽く倒す。
唇をこちらに委ねるように向けて、ほんの僅かに顔を上げて完全に待つ態勢に入った恋人の姿に、いよいよ引くに引けなくなってしまう。
こうなってしまえばもうどうしようもない。
恥ずかしさは臨界点を突破してしまいそうだが、俺とてしたくないわけでは決してない。
覚悟を決めてルナとは逆向きに頭を傾け、そっと彼女のぷっくりとした形のいい唇にキスを落とす。
「……んっ…」
最初は、一瞬触れるだけの軽いキス。
唇を離すと、ルナから熱っぽい吐息が漏れて目を開けたルナが「もう終わり?」とばかりに名残惜しむような目で見つめてくる。
その視線に耐えきれなくなり、再び彼女の肩を掴むと、ルナはもう一度目を閉じてキスを待った。
「んっ……んぅ……」
再び唇を合わせると、ルナは啄ばむようにちゅ、ちゅっと小刻みなキスを繰り返す。
確かバードキスと言っただろうか? 甘えるように俺の唇を夢中で啄ばむルナは息をするのも忘れてくにくにと俺の唇を甘噛みし始める。
どうやら彼女はこのキスがお気に入りのようで、これを始めるとしばらくはキスの雨が収まらない。
先程から転じて受け身になり、手持ち無沙汰を彼女の髪を撫でながら誤魔化していると、ひとしきり甘えて満足したのか、ルナは最後に一度、俺の唇をちゅうっと軽く吸ってから体を離す。
「ライト君……ライト君……!」
唇を離したルナの顔を見ると、頬は上気して、目はとろんと熱に浮かされたように普段よりも目尻が下がっている。
ーーあれ? これヤバいんじゃね?ーー
どう見ても満足したようには見えない恋人の様子に背筋に冷たいものが走った瞬間、ルナは俺の隣からふわりと体を翻し、対面する形で俺の腿に跨った。
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