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「んっ……んむぅ……ふむっ……」
艶かしい吐息を漏らしながら、ルナは俺の口腔に侵入させた舌を縦横無尽に蠢かせる。
親を探す迷い子のように、所在なさげに彼女の熱くぬめる舌が蠢くたびに首筋にゾクゾクとなんとも言えない感覚が走る。
「んっ……!」
ルナの舌に上顎の裏側や歯と歯茎を丁寧になぞるかのように動き回られることで絶え間なく与えられる快感に耐えていると、不意にルナの舌先が俺の舌先を僅かに掠める。
すると次の瞬間、探し物を見つけたとばかりにルナの舌の動きから迷いが消え失せ、伸びてきた彼女の舌が俺のそれを絡め取った。
「んんん……えぅ……んふぅ……」
くちっ、ちゅっ、くちゅっ
二人の意味を成さない吐息と声と共に、立て続けに水音が響く。
平均よりも長い舌をいっぱいに使って、ルナは懸命に俺の舌を絡めとり、擦り合わせ、仮想の唾液を交換する。
どのくらいそうしていただろうか、顔が見たこともないほど色に染まりただただ甘い声を漏らしながら肩を震わせるようになっても、ルナは俺の唇を貪ることをやめようとしない。
完全に身体を預け、二人の身体の間の隙間をゼロにしようとしているかのごとく密着しながら唇を合わせ、舌を交わらせているとやがてお互いの身体の境界が曖昧になり、ドロドロに溶け合っていくかのような錯覚を覚え始める。
ーーこれ以上は、マズいーー
一体何がマズいのか、具体的には説明できないがグズグズに溶けた理性の残骸が脳内で警鐘を鳴らす。
だが、身体の前後を押さえつけられ、身動きが封じられているこの状態でできる抵抗などたかが知れている。
どうすれば完全に出来上がったルナを止められるか、舌を嬲られながら蕩けた思考を無理矢理回していると、不意に身体が思考を離れて動いた。
「んふぅぅぅぅぅっ……!?」
彼女の長い舌を唇でそっと挟み、ちゅうぅっと吸い上げる。するとルナの身体は驚くほど敏感に反応し、肩がこれまでの比にならないほど跳ね上がる。
「んっ……はぁっ……あう……」
ぴくん、ぴくんと断続的に身体を震わせる彼女の舌を解放すると、二人の間にかかった銀の橋が仮想の重力に引かれてたわみ、一つの珠となって地面に落ち、ルナは疲れ切ったようにくてりと俺の身体の上に倒れこむ。
玉の汗を浮かべながら、蕩けた顔で荒い息を繰り返す恋人の姿は一層扇情的で、これまでに見てきたどんなものよりも美しく感じた。
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