プロローグ

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「それにしてもまさかあの天城晴陽と一緒に飯が食える機会が来るなんて夢にも思ってなかったぜ」 「本当ですよね、やっぱりお二人は凄いです!」 「いや別に俺たちが凄いってわけじゃ……」 レインと入れ替わるようにやってきたグレイヴとリオノールの凸凹コンビの言葉に思わず苦笑いで返し、首を振る。 顔を合わせるたび毎度のことなれど、どうにもリオノールのように手放しで褒め称える言葉というのは慣れず、むず痒い。 俺としてはレインやグレイヴのような、砕けた態度で接してほしいものなのだが、リオノールはなんだか俺達を神聖視している節すらあり、その視線が時に居心地悪く感じてしまう。 いやまあ、チェリオのような相変わらずつっけんどんな態度も居心地悪いといえば悪いのだけれど。 「ああ、そうそう。二人ともやっと結婚したんだってな。言い忘れてたよ、おめでとう」 「あ、ああ、ありがとう」 「まあ時間の問題だとは思ってたし、別に驚きはしなかったけどな。祝いの品はないけど、これで勘弁してくれ」 そんな俺の内心を察してくれたのか、グレイヴが話を変えて祝いの言葉とともに手に持った瓶を傾ける。 「そうだ、グレイヴ達はギルド結成したんだったか。おめでとう」 「お、サンキュ。リーダーから聞いたのか」 「まあ、休み時間の度に語られるからさ……」 酌を受け取りつつ、こちらも祝いの言葉をかける。 レイン達も先月、ついにギルド結成クエストをクリアして彼らのギルド≪皆星≫を立ち上げている。 元々のパーティーリーダーであるレインをギルドマスターに、副官のグレイヴ、リオノール、チェリオ、ムヒ、ウナ、アルファの七人が初期メンバーとなっている。 「ギルドって言ってもまだこの七人しか居ないから何が変わったわけでもないけどな……これからメンバーを増やしていくさ」 「そっか。……知っての通り、頼りないリーダーだと思うけど、あいつのこと頼むよ。悪い奴ではないからさ」 「ああ、それも知ってるよ。任せとけ」 テーブルの上のワインの瓶をとり、グレイヴのグラスに紅い液体を注ぐと、俺のグラスを持ち上げ、軽く打ちつけ合う。 どちらも未成年の筈なのに、妙に熟れてしまった動作に思わず苦笑を漏らしながら、そろってグラスを傾けた。
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