万能の神

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「と、いうわけでボス戦の日取りが決まりました。日曜日に都合つかないって人は挙手をお願いします」 なんとなくHRなどで採決を取る学級委員長をイメージしながら、自分で手を挙げて見せて挙手を求めるが、やはりというか手は一つも上がらない。 アルマダが帰ってからパーティーのメンバーが全員揃ったところでアルマダにもたらされた情報を共有しつつ、ボス戦に参加できない人がいるか確認を取ってみたところ、誰の手も上がらずいつも通り全員参加という運びになった。 「でもほんと急ね。前線組はいいとして、ウチらはアイテムの用意とかは間に合うの?」 話が参加の方向でまとまったところで、椅子に逆向きに座り背もたれに体を預けたシャインがマリアさんに視線を向ける。 アイテムの確保や武器防具のメンテなど、実質的にボス戦の用意などを担うのはマリアさんなので、三日という限られた時間で用意が間に合うのかが不安になったのだろう。 しかし当のマリアさんはというと、なんでもないように力強く頷いて見せた。 「そこら辺は問題ないわ。エリクサーも一人当たり二本ずつ用意してあるし。武器防具のメンテも明日から取り組めば余裕を持って終われるから、参加自体に問題はないわね」 「そ、そう……いつの間に……」 「エリクサー二本ずつ……12本ってどれだけお金かかってるんですか……」 「必要経費よ、気にしないで」 一本作るのにお高めのポーション類が十数本必要なエリクサーを12本も作るなど、小瓶の中にどれだけの金額のシルが溶けているのか考えかけて慌てて首を振る。 こういうことを考えてしまうと実際に使わざるを得ない場面で惜しんでしまう。 一瞬の躊躇で手遅れになることがあるのが高難度バトルだ、余計なもの思いはしないようにしなければ。 「じゃあボス戦には間違いなく参加するとして、対人戦になるし感覚取り戻さないとな」 「あ、それなら私付き合うよ」 「私も付き合います。魔術師(メイジ)系の仮想敵も必要でしょうし」 「私も行きます」 「どうせなら全員で行きましょうよ。替えの装備はみんなの分用意してあるし、シャインも行くでしょ?」 「もち」 ぐぐっと伸びをしながら椅子から立ち上がり、軽く体を動かそうと装備フィギュアを操作して部屋着の上に訓練用のコートと剣を装備する。 するとルナを先頭にパーティーメンバー達も席から立って着替えるべく物置部屋へと入っていった。
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