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2051年3月26日
視界を染め上げていた蒼白の光が収まり、明転していた視界が色を取り戻すと、見覚えのある広場に立たされていた。
広場には青白い光を放つ巨大な魔法陣が静かに駆動しており、あちこちで蒼光を湧き上がらせるとその度に人を吐き出していく。
広場の更に奥には城門を閉ざした洋城が鎮座していて、広場に着々と集う戦士達を睥睨していた。
「やっぱり転移陣は外に移されたか」
「おう、クエストコンプした時点で広場に移されてたぞ」
「あ、こんにちは、ディエゴさん」
「おう、久しぶりだな。仮想体に言うのもなんだが、全員元気そうで何よりだ」
なんとなしにポツリと零した呟きに背後から野太い答えが返ってきて、半ば正体を確信しつつ振り返るとやはりというか、そこにはディエゴが立っていた。
ルナに続いてリリアさん、シャイン、セブンがそれぞれ挨拶をすると、ディエゴは表情を綻ばせてそれに応えた。
「あれ? 装備更新したんだな」
「流石にステータスに合わなくなってきてな」
ふと、ディエゴが纏うプレートアーマーの意匠が見慣れたものから変わっていることに気付く。
色こそ以前のものからは変わっていないものの、全体的にゴツゴツとした角を落とし、丸みを帯びたデザインに変更されている。
特に関節部分の動きを阻害しないようにという判断なのか、両肘、両膝はカバー範囲を減らし、下の黒のインナーが覗いている。
以前のガチガチに固めるタイプよりも防御力は落ちるだろうが、どうやら装備更新を機に機動性に重きを置いたデザインに宗旨替えしたらしい。
「武器はまだ強化の余地があったから俺は替えてないが、提督達は武器までフル更新してたな。多分他所のギルドにもそろそろ更新する連中が出始めるさ」
「まあ、かなり経験値稼いでますからね。レベルもどんどん上がっていくでしょうし」
「リリアの言う通り、分担したとはいえ大量のクエストを短期間にこなしたからな、一つ一つが経験値効率よかったし、今月は強化月間みたいなもんだったよ」
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