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「うわ……」
「気持ちはわかるけど我慢してくれ」
聳え立つ塔の中に入り、無限に続くのではないかという螺旋階段を見てげんなりした声を上げるシャインを慰めながら、俺とマリアさんがパーティーの前に移り、階段を上り始める。
俺達のパーティーは前線組の中でも最後列にいるので、俺とマリアさんさえ前に出れば後続するのは女性陣のみ。
スパッツも装備しているとはいえ、ミニスカート率が高いウチの女性陣の後ろで階段を上るわけにもいかないし、敵も出てこない場所で殿を置く必要性もない。こうするのがベストだろう。
「別にアバターのパンツくらい気にしやしないわよ。ちゃんとスパッツも履いてるし、見られるにしてもアンタかマリアでしょ?」
「いや、少しは気にしろよ……」
それに、世の中にはスパッツにもそれはそれで興奮するという性癖の人間もいるものだ。
アバターはただのデータの塊とはいえ、自分の身体の一つであることに変わりはない。
もう少し自分を大切にしてもらいたいものである。
「ボス戦の目前とは思えない程の緊張感の無さですね……」
「まあ、なんだかんだで戦いになったらスイッチが切り替わりますよ。もちろんセブンさんも」
苦笑いを浮かべるセブンを宥めるように、リリアさんが俺達の緊張感のかけらもないやり取りを笑い飛ばす。
確かに、切り替えるべきところではしっかり切り替えられるのがこのパーティーのいいところだ。
まあ、主に俺が時々戦闘中でも相手の調子に合わせて変なやり取りをしてしまうことはあるが、それはまあ、ご愛嬌ということにしておきたい。
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