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壁伝いの階段を上りきり、天井にハッチのごとく空いた丸い穴を潜り抜けると、まさに国王への謁見の間といった光景が広がる。
ヘスティアーの城の謁見の間は純白の床と天井、壁は全面とてつもない強度のガラスのような何かといった感じのシンプル過ぎるデザインだったが、こちらは謁見の間という名前通りのデザインになっており、当たり前の光景に謎の新鮮さを感じてしまう。
「さて、どうやら皆さん揃ったようですね」
最後尾を歩いていたセブンが穴から這い出て立ち上がると、突如謁見の間にそんなヘルメスの声が響きわたり、通ってきた穴が収縮するように塞がり、跡形もなく消え去ってしまう。
そして謁見の間の最奥、一つだけ置かれた玉座の元に極小の竜巻が発生し、数秒で収まり風が霧散すると、そこに以前見たままの吟遊詩人じみた服装に身を包んだヘルメスが腰掛けていた。
「まずは、ようこそこの世界の最前線を駆ける英傑の皆さん。僕はヘルメス、皆さんの前に立ちはだかる十一番目の神です」
「ご丁寧にどうも。こっちの用件を伝える必要はあるか?」
「いえ、見ればわかるのでその必要は。長々とした口上は趣味じゃないので、早速準備を始めさせてもらいますね」
アルマダの言葉にそっとかぶりを振ると、ヘルメスは右手を持ち上げ、ぱちん、と一度指を鳴らす。
すると彼と俺達の間を守るように、ヘルメスが登場した時と同じような極小の竜巻が七本現れ、それらが収まるとそこには七人の少女達が佇んでいた。
「名前の紹介は……まあいっか。後は……申し訳ないけど返してもらいますね」
「は?」
取り巻きとなるNPCの紹介をバッサリとショートカットすると、ヘルメスは次に俺に左手の人差し指を向ける。
唐突な彼の行動に何事かと身構える間もなくその指先に光の粒子が集まったと思うと、次の瞬間には見覚えのある小ぶりな竪琴が彼の左手に収まっていた。
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