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拒否 #2
結ばれ、ては……いけない、運命……
悠の言葉が、薫子の胸に突き刺さる。
駆け落ちするまで。事故に遭うまでは……悠の気持ちは、確実に自分に向けられていた。
それが、事故に遭い、生死を彷徨うことによって、悠の考えが一変してしまったのだった。
ーーそれは、私が悠を事故に遭わせた、せいだ。
「悠……ご、めんなさい。
私が、あの時……空港に行っていれば。悠に、迎えに来てもらわなければ、こんなことには……
ごめ、なさい……ごめっ……ッグ、ウッウッ」
立ち竦んだまま全身を震わせ、薫子は涙を流した。
もし、今までの悠であれば彼女の傍に寄り添い、抱き締め、優しく涙を拭ってくれていただろう。いや、それ以前に悠が薫子に辛辣な言葉をかけるなどありえなかった。
だが、今の悠は……薫子の涙を拭うことも、慰めの言葉をかけることもなく、背を向けたままだった。
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