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『お集まりの紳士・淑女の皆さん、闇オークションへようこそ!』 お、始まったみたいだ 『今回の商品は何と、この世に珍しい黒髪黒目の人間を入手いたしました!』 え、黒髪黒目ってオレ? ふーん。この世界はあまりいないのか・・・ 「出ろ」 「へいへい」 檻から出され、首につけられた鎖を引っ張られながら舞台にでる。 うわぁ、以外と多いな。 皆自分が偉いオーラ出てるし。 気持ち悪い。 そう思っているうちに値段は上がっていく。 『一万五千$』 お、一番たかいのが出たか。 誰だろ、と全体を見渡す。 『では、一万五千$の方で・・・』 『五百万$』 入り口のすぐそばに立っている男の口から、今日の最高額が紡ぎ出された。 ぁ、こいつは・・・人じゃ、ない・・・ 司会者はこれが最後だと判断し、オレを他の部屋に通した。 ・・・なんなんだ、あれは。 ここにきたばかりのオレでもわかるくらいの威圧感。 背中の冷や汗が止まらない。 こんな威圧は初めて感じた。 っ!!きた! そう思うと同時にドアが開かれる。 あの男は静かに、でも存在感を出しながらゆっくりと歩いてきた。 怖い。 けど、それ以上に ―美しい― 見惚れていると、手続きと支払いが終わったようで、オレの方に向く。 艶のある、黒と赤の髪 パーツの整った顔つき 有無を言わさない強い意志を持った瞳 美しく、勇ましい そしてオレは、 『改めて、よろしく』 その瞳と言葉にしたがって、差し出された手に自分の手を重ねた。
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