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「愛とは至高のモノだ、
と、この天井を幾億にも貫いたところにいた彼の方は言った」
いきなりやって来ては食卓に足を上げて座った、細目の匂う男、アスモデウスが言った。
「されど、それは、そのおぞましさをもって格も美しくなる、
と、僕は思う」
癖がある美しさの男だか女だか謎な者、ベリアルが、勝手に紅茶を注いで飲みながら言った。
「そう、だ。私もそう思う」
アスモデウスはベリアルの顎をとった。
「だから、おまえらは何が言いたい?」
ギョロンとした目つきの黒装束で細身のベルゼブブが、
料理が盛大に積み上がった食卓の主の席でフォークとナイフを握り締め、
手を震わせながら問うた。
そして、勢いよく両手のグーで食卓を叩いたかと思うと、
手のフォークとナイフをそれぞれアスモデウスとベリアルに投げつけた。
「と言うか、勝手に人の家にあがって勝手に飲み食いしてんじゃねえ!
それは俺のだ!」
しかし、フォークとナイフはアスモデウスとベリアルにサラッと避けられ、
側に仕えていた餓鬼らに突き刺さる。
餓鬼らが倒れるのを無視して、三人は食事と会話を続ける。
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