#3 誰もが居なくなる

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『死体が埋まってる感じがします(目をつぶっている顔文字)』と打ち込まれた。  アカウント情報を見たら、aozorabunkoというユーザー名だった。プロフィール写真は青空に浮かんだハートマークの雲だった。投稿された八百ほどの写真は、学校の屋上や運動場など、いろいろな所から見た青空の写真だった。人物は全く写っていない。#aozora というハッシュタグは私もたまに使うので、ここからリンクして飛んできたな、と想像した。  プロフィールページには、アカウントの紹介として短文が掲載されていた。 「ココロが疲れてしまったとき……青空を見上げてみませんか? 本棚からお気に入りの文庫本を取り出すように、あなたのお気に入りの青空が、この中にありますように(星が輝く文字)」  SNSにはありがちな内容だと思った。また多少古臭い文章の感じがした。いわゆる「中の人」は少し年上かもしれないな、それに女性か、あるいはフェミニンな男性という感じがする。ともあれこの短文のお蔭で「aozorabunko」とは「青空文庫」と読ませるものらしいということは分かった。  私は、並んでいる青空の写真のいくつかに、お気に入りのしるしであるハートマークを送った。 『 写真撮るコツとか教えてください(目をつぶる顔文字)』とメッセージを送った。  返事が来て、会うことになった。
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