「ひきこもりグローバリズム」

2.帰国

ほぼ騒がれることもなく、情児は環境変化による体調不良を理由に、学校を休み続けることとなった。

毎度のことである。

およそ「グローバル名探偵」などという世界的パブリックイメージとはかけ離れた生活を送っているのが実際の情児であったが、”亜久津情児”という、まるでレイプ犯役を得意とする悪役俳優みたいな名前も、世間には印象的だったようで、何度かテレビ出演のオファーもあったが、情児はそれを全て断ってきた。

要するに情児は、世間に顔が知れて、外を歩くだけで声をかけられるようになることなど、是が非でも拒否したかったのだ。