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情児は青い顔をしたまま、それを水神に悟られないように、クッキーをボリボリ食べたが、すぐに口の中がいっぱいになり、紅茶で体内に無理矢理押し込んだ。
まるで容疑者の気分だ。
その時、水神の携帯電話が鳴った。
水神はすぐに出て、相手の話を聞いていたが、急に驚いた顔で「何!」と叫ぶと、「…わかった…了解」と告げて電話を切った。
情児が水神の方を見ると、
「今、死んだ川上の所持品から、青酸カリが入っていたと思われる小型のピルケースが発見されました。そのピルケースの内部から、青酸カリの一部が検出されました。どうやら川上は自殺だったようです…」
と水神は静かに言った。
まさかあのトイレに入っていた時に毒を飲んだのか?
自分が入れなかった、あの恨みのトイレで、自殺の準備をしていたのか?
まさか… 否…情児は青い顔をさらに青くして、そう思った。
まさか自分が性急にトイレのドアをノックしたんで、早まったんじゃなかろうな?と。
でもまさかな…
情児は出来るだけ、自己正当化の側に立ちたい気分だった。
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