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「私もそう思います」
水神はタバコに火をつけて、咥えながら、捜査資料に目を通したが、このまま自殺事件ということでカタがつきそうだなと思った。
「毒を飲んだのはトイレの中か?」
「その辺のことは、まだはっきりしません。席に戻ってコーヒーを飲みながらかもしれませんし」
「前の席に座っていた久保山は、飲むところを見てなかったのか?」
「見てなかったようです。普通にコーヒーを飲んだだけじゃないかと言ってましたが、久保山は、その時、近くにいた向島という助手と話し込んでいて、川上の方を見てなかったようです。席もたまたま一緒になっただけだと言ってるんですが、しかし久保山は川上が連れてきた人間ですよね。何でああいう言い方をするのか、ちょっと疑問ですね」
「会に無理矢理参加させられたということか?久保山は」
「本人はその辺の事については、はっきり言いませんが、その可能性はありそうですね」
「まあ、とは言え、自殺の案件だ。その辺を追求しても何か出てくるとも思えんな」
「はあ…」
水神は、その後、山吹を誘って昼食を食べようと部屋を出た。
天気が良いので、陽気に当たりたかったというのもあった。
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