6.第二の殺人

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「その後で、僕と大麦先生は、研究室にそのままソファから戻ったんですが、その時にはもう、白い部屋に血だまりができてて…」 「田沢さんは死んでいた、と。大麦氏とあなたが死体の第一発見者でしたね」 「はい。血だまりのせいで、部屋全体が変な感じに見えましたが…」 「死体の側には、サバイバルナイフが落ちていましたが、あれが凶器でしょうね」 「というか、あれは田沢のサバイバルナイフなんです。だから、てっきり自殺したのかと最初思ったんですが。いつもロッカーに入れてたやつです」 右手はそう言うと、大麦の方を見たが、大麦は急に手をブルブル振って、 「いや、確かに口論はしたが、彼を自殺させるような酷い事は言っていないよ。くだらない毎度の見解の相違で、意見がちょっと合わなかっただけのことだ。自分のせいでは断じてないよ。彼の自殺に私は関係ないよ」 と弁明した。 ちっちぇー男だな、と水神は大麦に対して思ったが、大学教授なんて看板貼ってても、いざとなるとこんなもんなのか…と幻滅した。 もちろん、そんな教授ばかりでもないだろうが、何でも死体を発見した時、この教授はビビって、右手と一緒に外まで逃げたらしい。     
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