1.プロローグ

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一部の優等生扱いの存在は、友達なんかいなくても、「下々の者どもとは付き合っておれぬ」と上から目線な態度を取っても許されるが、そうでもない場合は一気に悪になってしまうのだ。 いやいや、自分は元々善玉なんか嫌いで、悪役の方が好きだから、別に悪でも何でも構わないのだ。 だがそこで、かっこいい悪役になるだけの体力がない。 「てめえら、ガキみてーに、タラタラ雁首並べて、おまんま食ってんじゃねーよ!小便臭い仲良しごっこなんかやってて恥ずかしくねーのか、コラ!」 なんて自分には怒鳴れないのだ。 小声でも言えない。 「どんだけ今仲良いフリしてたって、学校から出たら、みんなそれぞれ別の人生があるってことがわからないのか。お前らと話し合わせて、せっかくの憩いの時間をクソつまんないものになんかしたくないから、俺に声をかけるな!俺の背中に立つな!俺に薄汚い声なんかかけやがったらどうなるか、必ず思い知らせてやるぜ!」 なんてことを、間違っても言えないのだ。 思い知らすどころか、思い知らされるのがオチだ。 でもだからといって、つまらない仲間内に中途半端に入れられて、嫌々昼ごはんを食べれば、せっかくのランチがまずくなる。 ろくに話すこともないのに、友達でもなんでもないのに、昼食の時間だけ友達ヅラするコミュニケーションなんてものは不毛すぎて耐えられない。 そんな不毛なこと、やらない方がマシだ。     
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