3.事件

1/8
55人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ

3.事件

運がいいんだか悪いんだか、情児はその後、またこの日本に帰国してからも、殺人事件の現場に出くわすことになった。 たまたま、本当にたまたま、新しく住むようになったマンションの近くのコンビニに寄った帰り、やたらとだだっ広いのに客がおらず、なんとなく居心地の良さそうなカフェ&レストランを見つけた。 店名はバーニー。 その日は父は仕事、母も同窓会に行って昼ごはんは自分で食べるように言われていたのだが、母が作り置いていったのは、情児の苦手な肉じゃがで、昼間から肉じゃがはないだろ、と思って食べる気がしなかったのだ。 だから、外で何か食べようと、かなり珍しく外出したのだが、そのタイミングでこのカフェに出会ったので、お腹が空いていたのもあり、中へ入ることにした。 客がいない、閑散とした感じが、本当は一番気に入っていたのだが(情児は客のいないファミレスの、ほったらかしにしてくれるあの店側の対応が大好きだった)外に貼り出されていた、写真付きのメニュー表に出ていた、トルコ料理のドネルケバブのランチが美味しそうだったのも、店に入った大きな要因の1つだった。     
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!