1.プロローグ

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日本に帰ってきて、最初に昼食を食べたのは、空港のトイレの個室であった。 芸能人でもないのに、自分をマスコミが待ち構えていて、何か話をしなくちゃいけないらしい。 こんな人間に何の用だよ、と言ってやりたいところだが、大勢の大人を相手に、そんなこと言えやしないことはわかっている。 両親と食事していると、そこに割り込んできて取材されるらしいと聞いて、その前にトイレに駆け込んだのだ。 お腹が空いていたので、途中にあった売店でとんかつ弁当を買って、トイレで食べた。 他人には奇異な行為らしいが、トイレでのランチは、自分には日常的なことだったから、別に何の問題もなかった。 学校に通ってる時からしょっちゅうだし、それはそれで楽しいランチタイムなのだ。 その楽しさは、一般にはなかなか分かってもらえないみたいだけど。 学校では「あいつは、友達がいないのを見られたくないから便所飯をやっている」と思われているようだが、友達がいないことなんかハナからバレバレだから、そんなことが恥ずかしいわけじゃないのだ。 まぁそういうタイプの奴もいるかもしれないが、自分は少なくとも違う。     
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