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11.施錠
こうして最後まで、仕事場に残って、建物に施錠をするのが日課だ。
自分にはパッとしたことなんて何もない。
上司からも馬鹿にされている。
もちろんあの、密かに憧れていた美人の里子にも、相手にされない人生だ。
なのに、自分と似たようなクズの田沢が、あの美人と付き合っているのは不公平すぎる。
その上、上司の大麦の評価も、自分より上だったりする。
いつも喧嘩ばかりして、誰にでも愚痴るようなクズなのに。
従順に生きてきた自分には、何の立場もないし、何もいいことがない。
これでも子供の頃は、神童と言われていたのに…。
しかしこれで、あの研究室は大麦と自分がメインだ。
明るい未来が見えてきた。
おまけに、学生の頃、カンニングしたことを黙っててやるからと、なけなしのバイト代を脅した取った人間のクズもいなくなった。
神は自分の味方をしてくれている。
自分の行いは、やはり正しかったのだ。
あいつは、他の生徒にもそういう恐喝を繰り返し、学生を悲惨な目に遭わせて喜んでいた。
人間じゃないゴミ。
あいつの死は天誅なのだ。
自分の行いは、やはり正しかった。
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