【こたつが壊れました】

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記録的な大雪が降った翌日、俺は明るく暖かい病室で、ワイドショーを見ていた。 『──はい、横浜市◯◯区で古い木造アパートが雪の重みで倒壊しました。明け方の事故のため、多くの住民が下敷きとなり犠牲になりました。しかし一階に住んでいたハシダ・スズヒロさん、21歳だけが唯一の生存者として……』 俺は下半身はこたつの中で、雪を抱き枕のように抱いた状態で見つかったと言う。 声をかけられて、すぐに目を覚ました。 電線にやたらカラスがいたのが見えた、まるで救出活動を見守っているかのようだった。 『コタツの中って言うのが助かったポイントですかねー?』 『コタツで寝るなとか言いますけど、これ知ったらダメって言えませんねー』 『本当ですよね、うち、無いから買ってこないと』 『あははー。いやまあ、大雪も50年に一度のとか言ってましたから』 明るいMCとパネラーの会話に、俺は内心舌を出す。 こたつだけあっても助からない、俺は彼女に助けられたんだ──二度も。 他の人達は圧死や窒息死だったらしいが、俺は一階に住んでいたのに俺を避けるように瓦礫も雪も空洞を作っていたそうだ。 低体温症が見られたが、全くの無傷だった。人知を超えた力と思うしかない。 気になって、俺は以前遭難した山に伝わる逸話を、パソコンで探していた。     
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