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ぼろアパート、もとい、古い木造アパートに越して来て、四年目。
若い子が珍しい、と大家が喜んでいた。最近の若い子はオートロックの綺麗なマンションがいいんでしょう?と。
俺だって金があればそうしたい、でも進学すら反対してた親に砂をかけ横浜の大学に入り、仕送りは学費も込みで五万が限度と言われたら贅沢などできない。
そんな俺に、入居時に大家が好意でくれたこたつが、遂に壊れた。
元々かなり年季の入ったものだった。こたつ布団は新調してくれた、学業頑張りなよ、と。
しかし。
マジか。
一月の寒空に。
唯一の暖房器具が壊れるなんざ、ついてなさ過ぎる。
今夜から大雪になると、何日も前から言われていて、予報通り昼過ぎから雪はしんしんと降り出した。
バイトから帰って夕飯食うべと足を突っ込んだら、壊れた事に気づいた。もう十時半、友達の家への避難も考えたが、時間も時間だし、積もった雪も面倒だから諦めて。
とりあえず温まらないこたつに足を突っ込んで半纏の上から毛布も被ってテレビを見ていた。
ぼろアパートは隙間風だって吹き込む、床から冷たさも上がってくる、一階だしな、マジ寒い。
体が勝手に震えだす。
「──風呂入ってあったまろうかな……」
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