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「んっ……」
薄いシャツ越しにも明らかに目立ち始めた尖りを指先でかすめた。
「ここ、気持ちいいですか?」
口を覆おうとした腕をそっと抑える。
「そんなことっ……聞く、な……」
乱れた前髪の隙間から見える濡れた瞳を見つめて愛撫する。彼の瞼は俺の動きに合わせて時折きゅっと固く閉じられる。そこにそっと口づけを落とすと、恐る恐るといった風に俺を見上げる。年上の彼が見せる姿に、すでに歯止めが利かなくなり始めていた。
「ふふっ」
脇腹に手を滑らせると、くすぐったいのか身をよじろうとする。彼の笑った顔を見ていたかったけれど、身体を離したくなくて、腰を引き寄せ再び深い口づけで繋ぎとめる。
「はぁっ……んん――」
全てが甘かった。漏れ出る吐息も、絡まる唾液も、薄い皮膚の感触も。全てを知りたかった。先生、ではない――俺の恋人のことを。
「好きだ……樹さん、好き……」
無意識に繰り返していた。こうして今、その言葉を溢れるままに告げることができる幸せに浸っていた。耳朶を食みながら何度も囁くと彼の身体が小さく震える。
「ちょっと……東っ」
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