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見開かれた目から、今度は次から次へと涙が溢れ出る。雫を舌先で掬い取って再び視線を絡ませた。そこにはもう、俺だけが映っていた。それでももっと、もっと俺のことだけを考えてほしい。そんな欲求が腹の底で燻り始めていた。ベルトに手をかけて抵抗される前に引きおろす。彼の脚の間に身体を割り込ませてそこを手で優しく包み込んだ。
「はぁっ……あああっ!」
先端を口に含んだ瞬間に一気にそこが硬くなった。舌先でくすぐるように触れると声がますますとろけだす。
「あずまっ……そんな」
「そんな?」
「そんなところ……あぁっ――」
「嫌ですか……?」
意地悪く訊ねる俺をうるんだ目で睨み付ける。視線を合わせたまま舌を這わせるときゅっと目を閉じ、声を出すまいと唇を噛む。その表情がますます俺を煽ると彼はわかっていない。もっと感じてほしいと俺は咥内で彼を弄ぶ。抑制が効かなくなってきたのか、少しずつ腰が揺れ始め、それに自分で気がついて低く呻いている。
しかし急に、はっと息をのんで目を見開いた。俺が滴る唾液を指に絡めて、小さな窄みに触れたからだ。
「ここに挿れたい」
余裕がないのは俺も同じだった。安直な言葉に自分でも呆れてしまう。固まってしまった彼から身を離して、欲しかったものを探し出した。蓋を開けて透明な液体をそこへ垂らす。周囲を優しくほぐすように押し込み、ほんの少しだけ指先を沈めた。
「痛っ――」
そこは固く俺を拒んでいた。液体を増やしながら少しずつ侵入させていっても、辛そうな呼吸が聞こえてくるだけだ。身体を起こして、あやすように口づけを落とす。
「もしかして、初めて……?」
「わ、悪いか。年上のくせに――ああぁっ」
もう一度胸の突起を口に含む。そうすると力が抜けたのか指への抵抗が小さくなった。
「悪くない、嬉しい」
吸いつきながら指を動かす。奥の方は充分に柔らかかった。ここにはまだ俺しか入ったことがないのだ。
「優しくするから……」
慎重に指を増やす。最初の固さが嘘のように、今はもう俺の指を飲みこむように中が動いている。
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