第2章 説得

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第2章 説得

僕)たとえば、「一年を通しての猫に注げる愛」「猫派としてのモチベーション」を『ネコネコ度』で表すとします。 ボス)ネコネコ度 僕)0から100までで表すとき、ボスの今年のネコネコ度はいくらでしょうか? ボス)100ネコネコだな。 僕)さすがです。即興で単位を『ネコネコ』だと推し量って下さったところも含めて………では、来年のネコネコ度は… ボス)100ネコネコだ。どの年であろうと。 僕)なるほど。では、仮に来年を猫年とします。 ボス)うむ。愉快だな。 僕)猫年のネコネコ度は… ボス)むろん100ネコネコだ。たとえ妻に離婚を告げられたりしても、猫年なら100ネコネコだ。 僕)離婚…?はい。では、翌年は ボス)くどいぞ。どの年でも100ネコネコだ。 僕)それは、猫年と他の年のネコネコ度に差が無いということでしょうか。 ボス)それは違う…猫年のネコネコは、言うなれば110ネコネコといった感じで…… 僕)ですが、上限を100と決めた以上、猫年と他の年の差を付けるとするなら、猫年以外のネコネコ度を100未満にする必要があるのではないでしょうか。 ボス)う、うむ… 僕)とすると、12年間でのネコネコ度の合計は、今のネコ無しの干支なら1200ネコネコです。ところが、猫年を入れると、他の年を99ネコネコとしても、12年間で1189ネコネコにしかならないのです。 ボス)ハッ!! 僕)つまり、干支にネコを入れなかったのは、ボスのような人々が、全ての年で最大限にネコを愛せるようにするためだったのです! ボス)なるほど…だから、干支のエピソードではネコを出して印象付けておいて、あえて干支自体には入れなかったのか。 僕)はい。「特別な1つ」を定めないことで、逆に全てのものを特別に捉えられるようにする、素晴らしい奥ゆかしさ…大和撫子の心なのです。 ボス)そうか…特別な1つを定めないことで……そうだったのか……!!
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