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「どうにも会話が噛み合わないんだよ。」
「そうなの?」
「顔見ないと誰の声か間違えるし、遠くからだと怒ってるか叫んでるのか正直よく分からないんだ。
男女差くらいは分かるけど。声色聞き分けられないからさ、どうも感情を掛け違えたまま仕事してる気がする。」
「感情?掛け違え?」
「分からないだろ?頭の上ででっかい羽虫が飛び交ってる感じ。相手の感情が聞き取れないのに俺だけ派手なリアクションとか馬鹿みたいだしな。そしたらみんな一方的にどんどん刺してくるっつーか、逆に孤独っつーか。」
「辛いんだね。」
お待たせしましたー、と日替わりランチとワッフルが並んだ。
「食べようぜ。」
「うん。いただきまーす。あ、もーらい!」
久しぶりというのに加奈子は本当に変わらない。こんなシーンは前にもあった。俺の皿の海老フライは加奈子の口の中に吸い込まれていった。
「返せよ。」
「もう食べちゃった!あ、ワッフルなら一口あげる。」
「いらねーよ。メシとワッフルを同時に食えるか。」
「味の問題じゃないのよ。シェアしたいの。聴覚検査は?」
「オールオッケー。ま、職場の簡単な定期検診だからそんなもん。」
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