俺、ウサギ。丸いゲージの中

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「趣味が合うじゃないか。」 「僕、子どもの頃飼いたかったんですよね。」 「俺は今でも憧れだ。」 「可愛いんです。たれ耳ウサギのロップイヤー。」 「可愛いよ。たれ目でロープ持ってイヤーンってな。お前何色が好みだ?」 「絶対シナモンがおススメです。」 「マニアだなー。シナモンちゃんに会ったことはないが、まあ良かった。やっぱりお前しかいない。」 噛み合ってる噛み合ってる。課長がウサギ好きとは意外だ。 「いやー、それほどでも。」 「二人でウサギになろう。」 「転生ですか?さすがにどうかなあ。え?」 「松本!レンタル会社に伝えとけ。ウサギの着ぐるみは宮地サイズだ。」 「はい。すぐに。宮地くん?」 「あ?」 「白かピンクで選んでくれない?」 チッ。 この舌打ちは、勝手に着ぐるみ係を押し付けられたことじゃない。噛み合っていたのはテンポだけで、課長と俺には相当な温度差があった。本当に気づけなかった。それとあとは、 「宮地くん怒ってる?」 「…休日出勤が面倒なだけ。」 好きにしてくれ。もう力入らねえ。無駄に期待した分だけ損したじゃねえか。     
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