俺、ウサギ。丸いゲージの中

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朝礼が終わるなり、力が抜けた。背骨を支える筋肉がやる気を失くしたようだ。 昨日の件は丸く収まったと押田課長は言うが、事故被害者に忖度を強要してただろう? 「誠意があるからこうして直接足を運んでお会いしているのですよ。」 って課長、あなたの声に「誠意」なんて俺には聞こえない。そんな誠意を丸と言うのなら、丸い地球は絶望の大地だ。 隣の席の松本瑞穂は相変わらず無表情を決め込む。 「なあ松本。お前もそう思わね?」 手元の資料に手を伸ばしかけた松本に、同意を求めた。どうせ松本は返事をしないんだがそれでいい。というかそれが、いい。 説明端折ってんのにテキトーな返事されてもな。「誠意」という言葉は自分からアピールするもんじゃないだろって、俺が言いたいのはそんだけだ。 「……」 チッ。 期待通り、愛想のない女。 松本はすっかり仕事モードに入っていて、舌打ちはオフィス内にむなしく響く。冷たい視線から逃げるために俺はインターネットブラウザ内を検索することにした。 …新着求人は0件です。 全くため息なご時世。潰れないよな?この会社。 「おい宮地!ネットでカチカチ遊んでんじゃねえぞ?」 「遊んでません。仕事です。」     
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