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着いたビル、めちゃくちゃデカイ。圧倒された。
私、こんな立派な事務所から歌手になるの?なれるのかな?
……いや、龍一との夢だ!なるんだ。
「なに鼻息荒くしてるの?行くよー」
「うっす!」
受付、龍一が一緒だからスルー。受付の女の人が頭下げて「おはようございます」って、龍一に挨拶した。
あわわわ……私、雰囲気に飲まれながら龍一の後に着いて歩いてた。
エレベーターに乗って、なんだか広いフロアで降りた。
「凜、こっち」
「あ、うん」
龍一がノックして入った部屋、なんだか皮張りのソファーがあって、いかにも重役の部屋って感じ。
奥に入ると偉そうな人が偉そうな机に座っていた。
「やあ!白石くん、……その子が言ってた子かね?」
「そうです。俺の彼女で『中谷凜』っていいます。今、17才」
その偉そうな人、立ち上がって私の前に来た。
で、上から下までジロジロ……ぐるりと回ってジロジロ。
き、緊張するんだけど!
「………外見的には問題ないね。歌は山内さんから私も聞いてる。すぐにでも大丈夫だと言っていた。で、どうしたい?」
「俺の歌で最初から飛ばすつもりです。俺がバックでギターやります」
「なら『白石龍一の彼女』ってのは最初から売り文句にするのか?」
「それは吉と出るか凶と出るかわからないけど、後々を考えたら最初から『彼女』は秘密にはしない方向でお願いしたいんだけど……無理ですかね?」
「いや、秘密にはしないで探ってみたら『彼女だった』にしよう。興味が沸いたら探るだろうし、その方が客も関心を抱くだろうから」
「………感謝します」
「早速だが、会議室に行ってくれ。全曲が白石龍一の曲っていうだけで売り出しやすいからな!よし!思いきり最初から売り出そう!」
「ありがとうございます!一緒に頑張ってみます!」
………話、私、1言も発っせなかった。
もうガチガチに緊張してた。
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