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『マヤッちってなんだ、マヤッちって!』
そう言おうとしたが声が出ない。
『お前は誰だ!』
声が出ないから身振り手振りでそう伝えるが、ソイツはキョトンとした顔でこちらを見る。
「このアプリをインストールしてなかったら、そく☆シでしたよ~」
『ムシかよ、やはり通じていないのだろうか』
どうするか頭を抱えた、その時……。
「あ、ボクには聞こえてますよ。ボクのことは ナビとでもお呼びくださーい」
『なんだそれ!』
思わず、俺はソイツの胸ぐらを掴んだ。落ち着け、落ち着け、と俺の良心が叫ぶ。しかし、俺の怒りはとまらず。
『うるせー! コイツを1発殴らせろ』
「おこらなーいおこらない! さて、まだ図太く生き残ってるマヤッちへ! とあるゲームをしてもらうよー!」
『ゲーム? なんの事だ。というか、図太くとか言うな!』
そう心の中でつぶやきながら、辺りを見回した。数字の羅列が壁中に並んでいる。
『ここは、どこなんだ』
「ここは境界線の中、今からしてもらうゲームに勝てばトラックに轢かれず助かるってことになーって、負ければまぁ……ぐっちゃぐちゃ?」
境界線?
ゲーム?
俺の頭の中でたくさんのクエスチョンマークが量産されていく。
『とりあえず、そのゲームに勝てば俺は助かるのだろうか?』
「よくわかってない、マヤッちへ。つまりは! これがーー……」
顔を上げた時には、目の前にトラックが迫っていた。
↓
顔を上げた時には、目の前にトラックが迫っていた。俺は間一髪で、迫っていたトラックに気付き後ろに避けた。
「に、なるわけー! おっけー?」
『お、おっけー!』
どこから取り出したのか電光掲示板のようなもので、わざわざ説明してくれた。
「マヤッち、準備はいいですか? 心の準備は? 体の準備は? 」
『もう、なんでもいい、なるようになれ』
俺はそう覚悟して、臨んだ。そのはずだった。
「それでは、マヤッちの運命をかけた、 生き残りゲームはじめましょーか!」
そう、誰かに合図するかのように宣言をし、ダボダボで見えない腕をあげる。
瞬間、視界が真っ白な光に包まれ、光が止んだ頃には目の前に……黒く長い髪。人形のようにパッチリとした瞳に長いくるりとしたまつ毛。白い陶器のような肌に健康そうな赤い唇。
学園のマドンナと言われる、神谷美伽が立っていた。
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