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マイちゃんはしばらく喚き散らした後、少し落ち着いたようで、僕のベッドの隣の椅子に座ってふてくされている。椅子は田口さんが、「ずっと立っているのも辛いでしょ」と言って持ってきたものだ。
ロボットの足腰を心配してどうするのかと思ったものだけど、マイちゃんは、「ありがとうございます」とお礼を言って即座に座った。その後、田口さんは部屋を出て、マイちゃんと二人きりになってしまった。
そんなマイちゃんのほうを見ていると、マイちゃんは怒ったような顔で言った。
「なんですか? 私が椅子に座ることがそんなに不満ですか? 不思議ですか?」
「そんなことはないよ。立っていると足の関節部に大きな負荷がかかることはわかっているつもりさ。そうだろ? マイちゃん」
「気安く名前で呼ばないでください!」
「君が呼べって言ったんだろ。じゃあ何て呼べばいいの? まっつん? まっちゃん?」
「他機のことを松本さんか松木さんみたいに呼ばないでください! それならマイちゃんでいいです!」
「それじゃあ僕が納得いかないんだ。マイマイ?」
「他機のことをカタツムリみたいに呼ばないでください! もうマイちゃんで勘弁してください!!」
名残惜しさはあるものの、マイちゃんで勘弁してあげることにした。
「じゃあマイちゃん、これからよろしく」
「勘違いしないでください! 先ほども言いましたが、私はあなたのことをマスターと認めたわけではありません!」
「じゃあマイコちゃん、これからよろしく」
「他機のことを芸妓見習いの少女みたいに呼ばないでください! 変な呼び方をすれば私がなんでも折れるとでも思っているんですか!?」
「ばれたか」
「本当にそう思っていたんですか!? とにかく、マインドコントロールでもされない限り、私はあなたをマスターだなんて、絶対に認めませんからね!」
ロボットがマインドコントロールされるのか。ロボットならマインドコントロールというより、コマンドが下りてくると言ったほうが適切なように感じる。
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