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「ねえ、何で僕をマスターだと認めてくれないの?」
彼女は、きっと僕の正体に気付いている。だから「何者だ」という言葉が出たのだと思う。きっとを確信に変えるために、僕は尋ねてみた。
「だってあなた、人間ではないじゃないですか」
やはりばれていたみたいだ。しかし、どうしてばれてしまったのだろうか。左腕のガーゼに目をやるが、剥がれてはおらず、その下から延びるケーブルのコネクタ部も露呈していない。
「人間の役に立つために生まれたのに……。ロボットにロボットが仕えるなんて話、聞いたことがありません」
「そうかい? 僕は昔、子犬のロボットとよく遊んでいたけどね」
「ああいう低知能なAIのものは別です!」
「だいぶ可愛がってもらったんだけどなぁ」
「あなたが仕えていた側だったんですか!? お手とかしてもらってもよろしいですか!?」
マイちゃんが狼狽してよくわからないことを言い始めたので、この辺でやめておこう。
「冗談はさておき」
「あ、冗談だったんですね……」
マイちゃんはあからさまに落ち込んだ様子で「別にいいですけど」と続けた。本気で僕にお手とかおかわりとかをさせるつもりだったらしい。
「どうして、僕がロボットだってわかったの」
「温度ですね。明らかに人間の体温とは違いましたから」
温度か。確かに、人間との差が出やすいところではある。問題は、彼女が僕に触れる前に温度を測定したことだ。
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