1.マインドコントロール

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「ねえ、何で僕をマスターだと認めてくれないの?」 彼女は、きっと僕の正体に気付いている。だから「何者だ」という言葉が出たのだと思う。きっとを確信に変えるために、僕は尋ねてみた。 「だってあなた、人間ではない(・・・・・・)じゃないですか」 やはりばれていたみたいだ。しかし、どうしてばれてしまったのだろうか。左腕のガーゼに目をやるが、剥がれてはおらず、その下から延びるケーブルのコネクタ部も露呈していない。 「人間の役に立つために生まれたのに……。ロボットにロボットが仕えるなんて話、聞いたことがありません」 「そうかい? 僕は昔、子犬のロボットとよく遊んでいたけどね」 「ああいう低知能なAIのものは別です!」 「だいぶ可愛がってもらったんだけどなぁ」 「あなたが仕えていた側だったんですか!? お手とかしてもらってもよろしいですか!?」 マイちゃんが狼狽してよくわからないことを言い始めたので、この辺でやめておこう。 「冗談はさておき」 「あ、冗談だったんですね……」 マイちゃんはあからさまに落ち込んだ様子で「別にいいですけど」と続けた。本気で僕にお手とかおかわりとかをさせるつもりだったらしい。 「どうして、僕がロボットだってわかったの」 「温度ですね。明らかに人間の体温とは違いましたから」 温度か。確かに、人間との差が出やすいところではある。問題は、彼女が僕に触れる前に温度を測定したことだ。
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