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--マイ--
青い空、白い雲はもちろんですが、面白いことに、枯れ草すらも美しく感じてしまいます。なぜなら、今日は私がマイロボとして初めてお仕事をする日なのです。ルンルンとスキップをして派遣先の施設に向かいます。
「ずいぶんご機嫌だね」
私の後ろを歩いていた博士が言いました。私を開発した博士ですが、お忙しいにもかかわらず、私の初仕事ということで同行してくださったのです。
「はい! 私たちロボットは仕事をするために生まれるのですから、仕事ができるということ以上に嬉しいことはありません!」
彼は白い口髭の下で少し笑い、次のように続けました。
「新しい環境に不安なことはないかい?」
「ええ、試験環境で予習もしてきたのでバッチリです!」
料理、掃除、洗濯など、家政婦ロボットに必要なことは一通り練習しなおしました。
「そうかい。試験環境と実地は違うから慢心はしないように」
「はい!」
私はそう返答しましたが、博士に嘘を吐いてはいけないと思いなおし、もう一度口を開きました。
「いえ、全く不安がないわけではありません。マスターが悪い人だったらどうしようとか、私の料理がお口に合うかとか……。でも、生まれた意味を実感できることが、それ以上に幸せなのです!」
私の生まれた意味は、仕事をして人間の役に立つことです。
「ならいい。ただ、君のマスターが少なくとも『悪い人』でないことは保証しよう」
「もしかして、マスターは博士のお友達ですか?」
「まさか。天地がひっくり返ろうがあり得ないよ。そもそも俺に友人はいない」
もしかすると、博士の触れてはいけないところをベタベタと触ってしまっていたのかもしれません。えっと、こういう時はどうすればいいんでしたっけ?
「博士……。もしよろしければ、私が博士のお友達に」
「いや、余計な気をつかわなくてもいい。気持ちだけ受け取っておくよ。ほらもうすぐ着くぞ」
博士がそう言ってから三分後、私たちは白い大きな施設に到着しました。病院のような外観をしていますが、建物の名前が書かれた看板などは見当たりませんでした。
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