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--ポン--
部屋の扉が三回のノックの後、ガチャリと音を立てて開いた。
「ポンさん、例の子を連れてきたわよ」
田口さんが連れてきたのは、十七歳くらいの少女だった。
「初めまして! マイロボのマイです! これからよろしくお願いします!」
少女がそう名乗る途中、彼女の後ろに、現状この世で最も合いたくない人間である康弘博士の顔が見えた。
「これはあんたの差し金か?」
僕はそいつに向けて言ったつもりだったが、マイちゃんは自分に言われたのだと勘違いしたようで、びくりと反応して顔をあげた。康弘はマイちゃんの一歩前に出て、悠々と話し始めた。
「差し金って、人聞きの悪いことを言わないでほしいね。テレビコマーシャルを見て、マイロボが欲しいという『意思』を持ち、購入したのは君自身なのだから。まあ正確に言えば、『テレビコマーシャル』というよりも、君にあてた『ビデオコマーシャル』というべきかもしれないが」
康弘は昨日の夜中にやっていたテレビコマーシャルが偽物であったことを匂わせた。匂わせたというより、告白したというほうがてきせつかもしれない。面白くない。
「ということは、田口さんもグルだったってことか」
「何のことかしら?」
田口さんは、とぼけたように首を傾げた。
「これが俺の発明というわけさ。面白いだろ」
「面白くもない。この嘘吐きめ」
「なんとでも言え」
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