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はいはい、私の方は大丈夫ですよ。
ちょっと横になってます。
最近やけに寝るのが楽しみで。
特にこんな穏やかな昼下がりはね。
さとみと遊ぶには体力を温存しておかないと。
「ボール取ってこい」が最近うまくできなくて、「みなみ、つまんない!」って、怒られちゃうんですよね。
今日はちゃんとやりますから。
楽しみにしていて下さいよ。
私はそのまま、目を閉じました。
この世界がぼんやりと認識できた頃、すでに私はさとみと一緒にいました。
「みなみはね、わたしがまだ赤ちゃんの時に、お兄ちゃんが近所の土手から拾って来たんだよ」
そんな風に言われましたが、私自身も赤ちゃんだったそうなので、もちろん記憶はありません。
「だからわたしとみなみは双子みたいなもんなの。お兄ちゃんが「みなと」、私が「さとみ」だからそれをくっつけて「みなみ」にしたんだよ。だって、私達の弟だから」
さとみは嬉しそうにそう言いました。
そんなさとみを見て、私もとても嬉しくなりました。
さとみはもうすぐ中学生になります。
ということは、私がこの家に来てから、それだけの年月が過ぎたということなんですねぇ。
早いものですねぇ。
私も歳を取るはずです。
さとみと私の時間の流れは違うから、同じ12年でも、私は12歳ではないんですよ。
1番小さかった私は、今やこの家の誰よりも年上になってしまいました。
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