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「南海!」
「うわっ」
耳元で叫ばれ、我ながらぶざまな声を発しつつ、俺はベッドの上で飛び起きた。
手足をジタバタと動かしながら、昭和風味満載のベタなリアクションで。
「な、なんだよ聡美!」
こんな起こし方をされたら、目覚めるどころか下手すりゃ永遠の眠りにつくとこだ。
つーか、この部屋の中の暗さから察するに、まだ朝じゃないじゃん。
何で人の安眠を妨害するわけ!?
俺はベッドサイドのテーブル上にあるライトを点け、体勢を立て直し、異議申し立てをしようと、最近同棲を始めたばかりの我が恋人に視線を合わせたが、しかし、その顔を見てまたもや心拍数が跳ね上がる。
「え!?な、何で泣いてんの??」
「うぅぅ~…。みなみぃ~」
えぐえぐとしゃくりあげ、きったない泣き顔をさらしながらそう言うと、聡美は俺に抱き付き、胸元に顔を埋めた。
え…。
その状態でこう来ますか…。
涙だけでなく、鼻水もたれてたよな、確か…。
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