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「なんか、すっごく、悲しい夢をみて…」
くぐもった声で聡美はそう訴えた。
「…悲しいって、どんな?」
体勢はそのまま、俺はライトの横に置いてあるティッシュの箱にソロソロと手を伸ばす。
すでに胸元が尋常じゃなく「しっとり」としているので、いまさら遅いかもしれないけれど。
「内容はよく覚えてないんだけど…」
「覚えてねーのにそのテンションで泣けるんだ?」
ある意味すげーな。
「南海が出てきたのは覚えてるよ。でも、みなみなのにみなみじゃないの」
早口言葉みたいな解説をしながら、聡美が顔を上げ、体を離した。
何かがびょ~んと伸びて、ぷつりと切れたような気がするけど、見ないふり見ないふり。
「そんで、泣きながら目覚めて、隣を見たら、みなみが目を瞑ってて…」
そう言いながら、ようやく俺が先ほどから差し出しているティッシュに気がついたようで、数枚抜き取ると、涙を拭いて鼻をかむ。
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