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「何だかよく分からないんだけど、『早く起こさなくちゃっ!』って、すごく、あせっちゃったんだ」
「そんで先ほどの場面に戻る、と…」
「目を開けてくれてホントに良かった~」
聡美の目が、またもやウルウルしてきた。
先手を打って、今度はティッシュを箱ごと渡す。
同時に2枚ほど抜き取って、胸元のしっとり部分をふきふきしながら、自分自身の眠りを反芻した。
「…そういや俺も、なんか夢を見たんだよな…」
「どういう夢?」
「ん~、起きたとたんに記憶がぶっ飛んじゃったから…」
なんせ生きるか死ぬかの瀬戸際だったからな。
「よく覚えてないんだけど、でも、なんか、すごく幸せな夢だったよ」
「…ごめんね?強引に起こしちゃって」
聡美がしゅんとする。
「いんや?大丈夫だよ。それに…」
若干、記憶が戻った。
「驚いたけど、目覚めた瞬間、夢の中より幸せな気分だったから」
その時の感情が甦り、俺は思わず顔を綻ばせながら言葉を繋いだ。
「また会えて良かったなって思ったんだ。さとみとさ」
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