六花の女将軍

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***** 「もう山は雪景色だ」  遠目に臨む山々は頂きから七分目辺りまで白く覆われている。 「この寒さでは、今宵あたり内裏(うち)にも降るかもしれませんね」  私は平気だが、供の者たちの寒そうな紫の唇に気付いて欲しい。 「昔、老爺(ろうや)があのてっぺんに連れて行ってくれた」  死んだ父の話だ。 「覚えているだろう」  振り向いた陛下はどこか寂しい目をしている。
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