六花の女将軍

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***** 「雪の晩はやはり冷える」  月にニ、三度、気紛れな遠駆けをした日には、陛下は決まって私の部屋で夜を過ごす。 「ここで六花と寝る時が一番心が休まる」  胸に頬を寄せていつもこう呟くのだ。  ただ、「胸に抱いて背中を擦ってくれ」と請われるだけで、夫婦の契りを結んだことは一度もない。  後宮での位階は「貴人」だが、陛下にとっての私は「女」ではないのだろう。
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