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駅から徒歩三十秒の台湾料理店は、提供の速さと本場の味が高評判で、今日の昼もスーツ姿のビジネスマンで賑わっている。
入り口からいちばん近い、いかにも後から設置されたであろう折りたたみ式の簡易テーブルには、満席間際に滑り込んだ優月、坂巻、神長の三人の姿がある。
ここ最近は、休憩中でも現在進行中のプロジェクトの話で持ちきりなのだが、今日は少し様子が違った。各々の視線はテーブルの中央に置かれたスマートフォンに注がれている。
「女の人はやっぱりドレス着るからかな。ずいぶんイメージが変わるよね」画面に映し出された、幸せそうな男女の姿を見やりながら、坂巻がつぶやいた。
「うん。そうなんだよね。なんかすごく……」その向かい側で、優月は複雑な心情をもてあますように黙り込み、数秒してぽつりと漏らす。
「奇妙で」
それを聞いたとたん、神長が吹き出した。通りすがった店員を呼びとめ、笑いをかみ殺しながら三人分のオーダーを済ませる。今日はそろって海老チャーハンと小籠包のランチセットだ。
「なるほど、綺麗かどうかは別として、優月はいつもの美波さんが良いわけだ」口調は至っていつも通りだが、神長の目はまだ笑っている。
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