Pride one

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「神長、無理しないで残して。無謀な量でしょ。もう食べ盛りの高校生じゃないんだからさあ、って俺いつも言ってるのに減らないし」 「親にとっては、子供はいつになっても子供だからな」神長は箸を置き、ごちそうさまでした、と律儀に手を合わせた。 「優月くんって大学進学のときに実家出てるんだっけ?」坂巻が訊いた。 「うん。それからさ、なんだかんだでほとんど帰ってないんだよね。だから親の中でも時が止まってんの。ほら、夏休みは海水浴でめちゃくちゃ忙しい時期じゃん。だから帰ってこなくていいって言われてるし。 でもずらしたらずらしたで、釣りのお客さんも結構いるからさ。そうなるとなんとなく、案内がてら一緒に釣りしたりとかするし、あんまり家でゆっくりっていうのはできないんだよね」 「だから面倒を避けるために、敢えて友人を連れて帰省する、というわけです」神長が坂巻に向けて説明を付け加えた。坂巻は納得したように頷いた。 「優月くんって、初対面でもぜんぜん人見知りしなくて驚いたけど、育ってきた環境を知るとなるほどなあ、って思う。人懐っこい感じとかもね」 「まあねえ。自分の家にいつも知らない人がうろうろしてる環境って、当たり前だったから。でも、よく考えたら普通はそういうのないもんね」 「ないない」坂巻が歯を見せて笑った。
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