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二十歳を過ぎ、大学を卒業しても、未だ実家暮らしのニートでいられるのは、親が多方面に事業を展開している桁外れな金持ちだからだ。
いずれは優秀な兄が後を継ぐことは既に決定事項。
次男坊の自分は何の期待もされず、それなりの学校をそれなりの成績で卒業し、要領よく生きてきたお陰で、今では母親の小言を聞いてやるだけで可愛がられ、後々相続する自社株の配当金だけで充分暮らしていける。
いわば、生まれながらの『勝ち組』人生。
そんな自分を狙う理由はただ一つ。
「誘拐か……?」
答えにいきついた途端、緊張が走り、喉から掠れた声が漏れた。
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