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「キメぇ……」
男の震える唇から零れ落ちた言葉が空気を揺らしたその刹那。
荒々しく髪の毛を鷲掴みにされ勢いよく持ち上げられたと思った途端、思いっきり床に叩きつけられた。
「いぎゃぁっ」
「デリカシーのない男ね……決めたわ。貴方は特別に私がヤッてあげる」
掴んだままの髪をそのままグッと引っ張り、男の鼻と自分の鼻とをくっつけるぐらいに顔を近づけた。
「ばけ……も……の」
男はサイの頬にペッと血の混じった唾と共に、苦々しく吐き捨てた。
「ふふふ。強気でいられるのもいまのうちよ? 私、カイほど甘くないから」
彼女は汚れた頬を拭う事なく、楽しげな声を上げたかと思えば、急に真顔になった。
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