第二話

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「ごめん。今日は朝練があったんだよ」  別に付き合っているわけでもなければ、一緒に登校する約束をしていたわけでもないので謝る必要はない。  けれど、いつまでもネチネチ言われるのも面倒だから、先に謝り理由を説明する。  相手が怒ったり拗ねたりしている時に、こちらまで苛ついた声を出すと、余計に拗れるので、眉を下げ、なるべく穏やかな声を出すのもポイントだ。  案の定、彼女は毒気を抜かれた表情をして、「ううん。それなら仕方ないよね」と首を横に振った。 「なんか用だった?」  大人しくなった彼女に改めて尋ねると、ハッと顔を上げて、スクールバックの中を漁りだした。
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