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次に、ゆったりとしたロングワンピースも脱ぎ捨てると、黒のロンTに、同じく、黒のスキニーといったシンプルな格好をした好青年へと変わった。
それから彼は、彼女の前に跪くと、顎を優しく持ち上げ、柔らかく微笑んだ。
吸い込まれるような瞳に見つめられ、思わずうっとりと見とれてしまいそうになるが、次に発せられた言葉によって現実に引き戻された。
「聖奈さん。貴女は賢いから、自分が何故、ここに運ばれたのか、分かっているんでしょう?」
先程のイカレた女は、自分を怖がらせる為の男の演技だったのだと理解した彼女は、彼をキッと睨みつけ、「なんなのよアンタッ! 気持ち悪い格好して、おまけに、ド下手糞な絵まで描いて……あんなんで、アタシが怖がるとでも思った? どうせカナコに頼まれたんでしょ? 自分じゃ何も出来ないくせに……アイツ、ほんと最悪っ!」と、喚き散らした。
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