第四話

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 噛みつくような勢いの彼女の顎から手を外した男は、「ふふ。ちゃんと、他人の恨みを買うような行為をしている自覚があるんですね」と、柔和な笑みを浮かべた。  自分と彼とのあまりの温度差に、“コイツはヤバい奴だ”と、彼女の本能が警鐘を鳴らし、口を閉ざした。 「本来は、僕達が罪人に、自分の犯した罪を認識させてから罰を下すんですが、貴女は既に自分の罪を認識している。なので、特別に、“貴女のルール”にのっとって、罰を与えるか否か決めようと思います――貴女が今までそうしてきたようにね」  そう言うや否や、彼はいきなり右腕を背後に回したかと思うと、銀色に光る長いものを手に取り、頭の上から思いっ切り振り下ろした。
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