第五話

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 仰向けで、自分を見上げている聖奈に向かって、男は左手を差し出した。  しかし、彼女は、男が右手に持つナイフを警戒し、その手を取らずに思いっ切り(はた)いて退けた。 「アンタが鬼?」  やたらと整った顔を睨みつけると、彼は叩かれた手を摩った。 「僕じゃありませんよ」  首を横に振った男は、ポケットに手を突っ込んで小さな何かを摘まみだすと、それを月明かりに照らした。  人差し指と親指の間にあるのは黄色の粒。  彼は躊躇うことなく口に含んだ。
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